■ 広島大学附属福山中・高等学校の中高一貫教育 ■

3 特色のある学習

 数学科     

ゲームや操作から数学を創っていく。 研究会での授業が展開された。

   「コンピュータ・グラフィックで複素数の積を探る」

   「素因数分解でカードゲームのしくみをあばく」

などの実践例は,当校の数学教育を具体的に述べたものである。

 中高の6年間は,子どもにとっては人生の最も多感な時期である。この時期の子どもの学校生活にはとくに「ゆとり」が求められ,その生活は,落ち着いてじっくりと学ぶ子どもと,豊かな授業内容で個性を大切にした教育をする教師との触れ合うものでなければならない。
そこで数学教育の目標の主軸に,当校では,子どもの学習意欲を呼び起こし,自ら「学んでいく力」を育てることを挙げている。次は,その目標達成のための具体的な方策である。

(1)操作活動・作業活動を中心とした授業 (主に第1学年)

中学校第1学年は,具体から抽象へ,直観から論証へのつなぎの時期である。
ここでの「操作活動」で,まず基本的性質についての理解を深めて,次の学年の,問題解決の方法を取り入れた『論証』の指導へと続く。

(2)Problem solving にならった授業 (主に第2学年)

図形の学習が仮定と結論を結びつける「作業」となりがちなところを,結論を与えない設定のみの問題を提示することで,数学が苦手な生徒も,興味関心をもって自主的に学習している。

(3)類似問題作りを基点にした授業 (主に第3学年)

与えられた1つの問題に対して,この問題の構成要素となっている部分を類似のもので置き換えたり,条件を削ったり,逆を考えたりさせる。このような指導は自己教育力をつけるのに役立っている。

(4)オープン・アプローチ的手法の授業 (主に第4学年)

与えられた問題の解答を出すだけでなく,与えられた問題や自分で作った問題に対して,ああでもない,こうでもないとじっくり腰を落ち着けて考え,吟味することをさせる。

(5)図形のイメージを重視した授業 (主に第5学年)

ベクトルでは,中学校の図形の内容を再びとりあげることで,ベクトルの内容がよく分かるようになり,また,ベクトルの学習の意図の理解へもつながる。さらにコンピュータの利用は有効である。

(6)選択制のもとでの授業,その内容の精選 (主に第6学年)

(7)コンピュータを利用した授業 (全学年)


中学校時代は,子どもは多感で,自我が目覚めはじめる。自分で考えたい,自分で確かめたいといったこの時期の自然な欲求に数学教育が応えていくには,子ども自らが意欲的に学習していく力を, 中高6年間を見通して指導することが求められる。


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