■ 広島大学附属福山中・高等学校の中高一貫教育 ■


  はじめに    


                                                広島大学附属福山中・高等学校
                              校 長     原 田   彰
 広島大学附属福山中・高等学校は、全国に先駆けて中・高一貫教育に取り組んだ学校であります。本校がはじめてこの実践に着手したのは、1962年のことでした。そして、1965年の公開研究会では、「学習指導の問題−中学校教育と高等学校教育との連続性・一貫性−」というテーマが掲げられ、1968年には「中・高一貫教育の研究と実践」と題した報告書が公にされています。
さらに1986年から4年間、研究開発学校として、自己教育力の育成という観点から、6年間の生徒の変容を因子分析の手法を用いて分析、中・高一貫教育が生徒の発達にどのように関わっているかを分析しました。

 この試みは、中学校と高等学校との教育内容の一貫性・継続性を深めるための教育課程の開発・学習指導の内容・方法の改革を要請するものでありましたが、それだけでなく、学校運営のための教育組織(教員組織・生徒組織)の改革、さらには中高一貫の学校運営にふさわしい施設設備の改善を必要とするものでもありました。
 中・高一貫教育の歴史をひもといてみると、本校がいかに実験的な精神に富んでいたかということが、明らかになるでしょう。当初試みられた1,2年生を第一部、3,4年生を第二部、5,6年生を第三部と位置づける教育組織、1975年から1979年まで実施された20人学級制の試みなど、きわめて画期的なものであります。
 この実県的な精神を抜きにして、本校の中・高一貫教育を語ることは出来ないように思われます。したがって本校の試みは、試行錯誤を伴うものでありました。しかし、その試行錯誤の中から、よりよいものを見つけだそうとする努力を大事にしてきたことを、見逃してはなりません。  実験学校としての、附属学校のあり方が改めて問われているのではないでしょうか。


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